FreeStyle Libre
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MPU
実体顕微鏡での写真。型番がRF430TAL152HというICである事が確認できる。
あまりうまく合成できていないがパノラマ合成した写真。類似のRF430FRL152Hをアボット社向けにカスタマイズしRF430TAL152Hという型番で専用として出荷している模様。
https://www.ti.com/lit/ds/symlink/rf430frl152h.pdf
RF430TAL152Hの詳細は、ここでTI社自体も公開はしないといっている。
RF430FRL152Hとほぼ同じはずで、通常多くのMPUが3.3Vであるが、MPUは1.5Vの電圧で動作し、電圧が低い分低消費電力で動作する仕様になっている。また内部クロック(おそらくLCフィルタで構成)をもっているので水晶振動子による外部クロックを必要としない。
FRAMを搭載しているので、記録したデータは電源がなくても保持されるようになっている。
ADC0
14bitsのADC(アナログデジタルコンバーター)を3つ搭載していて、それぞれの接続を確認していく。ADC0は、血糖値センサの主たるADCのチャンネル。
回路上は、センサ部分の詳細が不明だが、10kΩの中間電位の変動をADCで読むような形に見える。センサー部分は電気的な抵抗がかわったように見えるのだろうが詳細はわからない。
ADC1
ADC1はSVCCの電圧を測定しているだけの模様。電源電圧がハーベストする電力や電池の出力変化で変動しても、基準となるように、測定してセンサの値を補正するためだと思われる。
ADC2
ANT
ANT(アンテナ)は外周に表、裏ともにインダクタを形成、ANT1とANT2の間にはLC回路の共振周波数が、13.56 MHzになるようにマッチング用のコンデンサが2つ入っている事が確認できる。
推定原価
基本的には、バッテリーレスのIoTの温度センサとほぼ同じ構成であり、センサ部分がサーミスタではなくて、グルコースセンサになっている。NFCでスマホをかざした時だけグルコース値を読むのであればバッテリーレスでNFCの電波のエネルギーだけで動作するものと推測される。スマホから給電されない時に、測定する必要があるので、電池が搭載されている。
https://www.ti.com/tool/ja-jp/TIDM-RF430-TEMPSENSE
https://www.digikey.jp/ja/products/detail/texas-instruments/RF430FRL152HCRGER/5147343
最も値が張るだろうMUPのチップ価格の参考値として、digikeyのホームページで検索をしてみるとRF430FRL152Hの価格を調べると、1000個ロット時のチップの値段は、2.14ドル。日本円で約290円。
基板はおそらく数十円の世界でつくれチップ抵抗等の汎用部品は1個数円の単位と予想され電池も30円程度の代物。センサーを覗いた基板やMPUの電子回路部分の価格は、組み立てコストを含めて原価で500円程度。
トータルの価格は、先端のセンサー部分がいくらかでできるかによる。グルコースセンサそのものは非常に単純な構造で簡素で、シートから切り出しで大量生産していると思われ、グルコースオキシダーゼの塗布もそうたいしたものではないとすると、大きく見積もって500円もしないはずであり、デバイスそのもののコストは、大きく見積もって1000円しないぐらいの価格というのが妥当と考えられる。
まとめ
フリースタイルリブレの構造を可能な限りで解析してみた。
・利用しているMPUは、アボット社向けにTI社が専用に作っている型番の模様。
・ディスポーザブルでのビジネスを実施している事もあり、中身の構造そのものは非常にシンプルに構成で、非常にコストを抑える事を考えた構造。
・基本構造はIoTセンサ。NFCの電波からの給電で基本測定ができてしまう程度に低消費電力。いずれのIoTセンサと同じように必要な時だけセンサに電源を供給する徹底した低消費電力化。
・電波がなくても測定できるように電池が搭載されているが、基本的に電力をほとんど使わず、2週間の使用期限は電力がなくなるからというより、グルコースオキシダーゼによる化学反応が安定してできるのが2週間になっていると推測。
・推定価格は、部材費、組み立てコストを考えて1000円以下。
その他(より詳細)
このICについては、
https://github.com/cryptax/talks/blob/master/BlackAlps-2019/glucose-blackalps2019.pdf
にとても詳細なデータ構造なども踏まえたリバースエンジニアリングの情報がある。
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